2010/05/25

Whip It!



「シェリーって好きになれない」彼女は言った。「わたしも好きじゃないな」サムも同意した。「なんか子どものころローラースケート場にいた意地悪な女の子を思い出しちゃう。」 まったく何を言ってんだか。そんなのとっくに市民権を得た美学じゃないの? すべからくダイクはローラースケート場のいじめっこの雰囲気を再現すべし、だと思っていたのに、違うんだろうか。もしかしたらシェリーは王道を行きすぎているだけなのかもしれない。
-ミシェル・ティー『ヴァレンシア』より

上の引用で話題になってるシェリーっていう子はあだ名が「スペースガール」っていうの、「宇宙人からよく話しかけられる」といつも言っているから。とにかく大ボラ吹きというか最高な話をでっちあげる天才で、「トレーラーパークに住んでた子どもの頃、川で小魚採ってるビッグフット(雪男みたいなやつ)見た」とか自分の下唇は小さい頃に犬に噛み千切られて、お母さんの体のものすごいところ(本文を読んでのお楽しみ!)の皮膚を移植して再生した、とかそういうことばかり言っている。他の誰かがちょっとすごい体験を話して得意になっていると、負けじと「あ、でもこっちなんかさー」とすぐにもっとすごいことをでっち上げてつぶしにかかってくるの。意地悪だねえ、注目されたいだけってちゃんとわかってるけど。いましたよね、そういう子って小学生の頃とか。シェリーは大人になってもやってるので煙たがられてるけど、大人な分細かくて、ぶっ飛んだ話を作り上げるからかっこいいっちゃかっこいい。

それはそうと、気づいたら『ローラーガールズ・ダイアリー』(原題:Whip It!)が公開されていた。
見ていないからなんとも言えないけど、勝手にBUST magazineぽい作品かな、というイメージを持っている。タフでチャーミング、インディー・ポップ・カルチャーの中のおしゃれで楽しいフェミニズム。
でもなんつってもここ最近ガールギャング映画をあまり見かけないような気がするから、ローラーダービーのチームに入る話ってだけでワクワクする。しかもちょっと見る限り、主役のエレン・ペイジは置いとくとしても、このギャングたちがみんな強くてやかましくてちょっと意地悪そうな(でもほんとは優しい)30代じゃんか、だいたい。そういう人たちの人生の中心に、恋愛とか仕事とか結婚とかセックスとかザ・シティとか以外のものがあったっていいはず。この映画で彼女たち自身のチームワークとガールフッドが中心に描かれているのならさぞかし胸がときめくだろう。だってこの予告編↓の1分過ぎくらいのところでドリュー・バリモア(本作の監督でもある)が「マスコットにでもなれば」って意地悪なこと言って周りの皆がガハハハと笑うところだけで、私はもうジタバタしながら繰り返し見すぎて夢に出そうです。優しくて元気な人がちょっと意地悪なのっていい。


というわけで余談となりますが、わたしの「ガバッと意地悪そうなとこがたまんない」エピソードをもって、このまったくまとまりのない話の結びの挨拶とします。

前にとあるお店でひとりでお茶を飲もうとして、「これを豆乳に替えられますか」みたいなことを聞いたとき、私の話し方があまりにこちゃこちゃしてるせいか注文聞きにきたお姉さんがものすごい眉根よせて「え!?」って聞き返してきて、即座に(やっべー素で聞いちった)って顔したときがあって、最高だった。あと、縁日の屋台でシール売ってた元ヤンふうの声がしゃがしゃがにハスキーな女性がですね…(恥ずかしいので続きを聞きたい方は直接会ったときとかにね)



出演しているイヴとジュリエット・ルイス、プレミアにて。なんかまさにBUST magazineぽい写真。

監督して出演したドリュー・バリモア。
クッキー・ミューラーの伝記映画が作られるなら主演は断然ジャガー横田だって思ってたけど、ドリューもかなりいい線に思えます。

2010/05/13

京都の2日間


先週、京都に行ってきた。旅の主な目的は京大の西部講堂で行われたライブを見るためで、そしてもちろん関西に住む素敵な友だちに会うため。
写真を見ながら振り返ろうと思うのですが、私のちょろいおもちゃカメラでは全然よい写真が撮れませんでしたので、一緒に行ったオークラさんに大々的に(まあ全部だね)写真お借りしました。さらにコメントももらったので、ファンの多い手書きオークラ文字のままお届けします。愛と臨場感あふれるなみちゃんのブログもね!


着いて早々、鴨川沿いでピクニックしてたら、なみちゃんが食べてたサンドウィッチをとんびに奪われた、口元から直接。鎌倉に住んでるなみちゃん、とんびは鎌倉にもたくさんいるからいつもすごく気をつけているけどここは鎌倉じゃないから大丈夫だと思ったって言っていた(そのときはあまりの動揺に気づきませんでしたけど、面白いこと言う)。まったく痛そうでかわいそうだ。その直後にババさんとぐるが自転車乗って来てくれました。久しぶりに会えて嬉しくて本当に胸が躍った。色々話したいのになんか興奮しちゃって全然言えない、まあ私万事そんな感じ。それで彼女らの日常の話がもうおもしろいの、この前日に停めといた自転車がないから盗まれたか撤去されたかもやだーって思ってふと見たら川の中に投げ込まれていてざぶざぶ入って救い出して乗って帰ってああよかった、とか。それにしても川原はもう夏だった。

オークラさんより
(注:なみちゃんは先日の橋の下ライブでも口元から流血してました)

ライブが行われる西部講堂へ行ったら、バンドのリハーサル中。ゆりちゃん、ひとみちゃんがもう来ていた。今回一緒に過ごせて嬉しかった、二人ともいかすぜ。
追記:
もう明日までになってしまいましたが、オオクラさんのいる素人の乱12号店で開催されているゆりちゃんの写真展。まだの方はぜひ、絶対見逃しなさんな。
間部百合写真展『野性のしこう』
ゆりちゃん初めて会ったときからぜんっぜん初めてな気がしません不思議だよ。話をしてると一緒に何かやってみたい!って心底思う。エキサイティングよ。

じゃあ、続きね。ライブの始まる前に近くのトランスポップギャラリーで開催されていました「スウィート・ドリームスのスウィート・ワールド展のその2」に行ってまいりました。
CARSON zineのために作った「でもやるバナー」。夜中ひとりで台所で作った折り紙工作がこんなところに来ているのは不思議な感じです。

かっこよくて雰囲気のいい場所、素敵な展示でした。
Sweet Dreamsの世界は名前の通りやさしくてかわいくて、風変わりな夢のように愛しく歪んでらっしゃいます。この展示、東京でも3日間だけやるようなので、ぜひ。!詳しくはこちら

おいチームキャシー、こんな感じに↑置いてもらってたよ。やったね、おふたりを思ってニヤニヤしています。

ライブ


去年の夏くらいにゆかちゃんとぶうちゃんが(伝説の!)N-16に加入したと聞いて以来、この日を楽しみにしてきたの。前半はもう盛り上がるっていうかひたすらうわあうわああって感動してしまって泣きそうだった。目の前にいる人、演奏している人も一緒に見ている人も、それに音楽も、なんかいとおしくなっちゃった。そんな思いで見られるライブはそんなにない。しかし後半は飛んだり跳ねたり叫んだり脱いだ靴を投げたり大騒ぎしました。一緒に行ったリタはとっても物静かでいつもクールなんだけど、ライブ中、特にゆかちゃんが歌うチーム・ドレッシュのカバーのときに顔つきがいきなり変わって、思いっきりジャンプしてた。ここにもいたぜ! それにやっぱりライブ見るのを楽しみにしていたBEERWULFは期待をさらにさらに上回るかっこよさだった。こう見えましても「気合入ってる」のには断然目がない私、すっげえ気合で何回もブルっとした。「女は人前で泣くとそれだけで同情されっからよ!」ギャー!!みたいな。かすみっくすの話を聞いてたら自分はぬるーい環境にいるなって思う、あからさまなミソジニーに出くわすことは少ないからだ。でももちろん悪意のない(こともないか)ぼけーっとした差別や、空気に溶け込んだ偏見にはどっぷりなの、自分もそうかもしれないし、少なくともそれに慣れてる。いいと思ってると思ってんの?いやそんなのよくないと思ってるに決まってんじゃん、などとひとり考えていました。楽しくて背筋の伸びる音楽だった。写真はゆかちゃんのつなぎのポッケのオノ・ヨーコと、かっこいいみっくす姉さんのかっこいい手首だよ、これ刺繍なんだよね。


会場は広くって、ライブのステージ以外にもいろいろな物販やジンやおいしいもののブースがいました。とっぴーたちのヴィーガンフードおいしかった。憧れてばかりじゃいかんと思いつつ、やっぱり憧れのとっぴー(チームキャシーはすぐとっぴーならなんて言うかなって言います)、京都へ行ってしまってやっぱり寂しい。それにこのファラフェルボール、いますぐまた食べたい。それで、たくさんのバンドが演奏してライブも大体終わってから、ゆかちゃんがカイアの曲とかを弾き語りしてくれて素敵だった。この写真ではゆかちゃんの背後でチャンスうかがってるぐる、このあとこのデュオの神がかった即興ライブが繰り広げられました。ぐるのアドリブソングのセンスは誰の追随もゆるさないね、腹がよじれて死ぬかと思ったよ。怖いマスクつけてても優しさがにじみ出ています、いっひひ。




そしてその晩はゆかちゃんの家に6人で泊めてもらって(ありがとう!)、次の日は皆で自転車を借りて走った。

こんなふうに大勢で自転車乗るなんて中学時代を思い出すなーって言いたいところだけど中学のときにこんな楽しいことした覚えない。あと、東京で自転車に乗るのはだいたい一人で長い距離だから、架空の映画の登場人物になったりダロウェイ夫人になったりモテる少年になったりひたすら空想の翼を広げているので、周りの風景を意識しながらちゃんとペダルを漕いでいるだけでも新鮮だ。いいね! お寺の中を走って通り抜けたのが古都の青春て感じでしたね、そうです何歳でも青春です。





そして総勢7名で昼間からやっている銭湯(上)に行き、総勢8名で元銭湯のカフェ(下)でご飯を食べました。この2軒同じ通りにあるのです。私がこの旅で印象的だったことの一つが、竹村君が気づくといろいろ服を変えていたことです。おしゃれだね、この日は途中から三角の笠をかぶってグラサンしてた。古本屋にも連れてってくれてありがとうね。





そのあとまた川原でピクニック、みんな来てくれてた。

ババさんとバトミントンに興じていて振り返ったらなみちゃんが写真のような姿↑でフリスビーしていた。なぜだ! 





それで河原の暗闇(灯りは自転車用のライト!)でキムチ豆乳鍋をやって、あっという間に帰りのバスに乗るために京都駅に向かわなければいけない時間になった。真っ暗な川沿いで唯一明るい公衆トイレの前で集合写真。たまたま男子トイレから出てきたタクシーの運転手さんをつかまえて撮ってもらったのね。「はい、行きますよー…あれ?押せない」→オオクラさん駆け寄って「ここを長めに押してください」、みたいなやり取りを何回も繰り返しすぎて頼んどきながら失礼だけど笑いこらえるのが大変。それがこの写真たちです、一応全部撮れてたんだね、ブレってけど。


たった2日なんだけど帰ってきてしばらくは正直寂しくってたまらなかったし、日常があんまりにしらーっとしていて白目むいちゃったぜ。だって関西のみんなは本当にパンチが効いてんだもん。そうだ、今回友だちになったこまっちゃん、キャシージンを読んでくれて本当に本当にジン作っててよかったなと思える感想をくれたのですが(自分の詩集も送ってくれたの)、私と生年月日が一緒だった!出会ってしまったねー!!

普段人との距離があまり近くないからこそ妄想に片足突っ込んだまま生活したり、会ったこともない人のことを自分がいちばん理解していると思ったりする(ファンジン体質)のも事実なのですが、こうやってみんなでぎゅっと集まって、なんならすぐさわれるところに好きな人がたくさんいて、正直に言いたいことを言っていいんだな、と思えるのは本当にいい、うらやましい。
ありがとう!