2011/10/01

ZTWOF #2 春のヘビーローテー



DIY 大阪ジンフェアを主催するTeam Havin Funのもうひとりはアンナさん。
たくさんジンを作っていて、どれもこれもがしれーっと傑作の驚異のジンスタ。前回の大阪ジンフェアのときもテーブルにいっぱい並べてて、ぎゃーと興奮しながら買いました。

まず、「春のヘビーローテー」ってやつね。
(表紙)
(裏表紙)

字のあんまり書いてないジンは困ってしまうことがたまにあるのだけれど(アート音痴なのか)、これは最初に見たとき全部のページで笑っちゃったし、何回も何回も飽きずに見てしまう。あーおもしろい。この絵!
「読みタイ本 むぎの花」だって!
なんなんだいったい!

あと「雨のサラリーマン」「自分のゴミ」とか。説明のしかたが全然わからないがかわいくてかなり変、ニヤニヤする。
もう夏も終わるし新しい季節ものがジンフェアで発表されているかもと思うと、気が気じゃない。

そして「全米が泣いた」

日本人のボーイフレンドとの会話やケンカ、文化や言葉の違いにとまどったりそれを超えてゆく日常をイラストとともにつづったジン。と書くとへーって感じになってしまうけど、違うの! 親密になっていくにつれて作られてゆく自分たち特有のボキャブラリーやギャグ、なんらかのコードのようなもの。どんな人たちのであっても外から見たら変だし、全米、全然泣けない。でもつまらないはずがないのだ。

孤独な愛のユニバースのユニークさが、このイラストでしみじみと伝わってきます。

そのほかにも、日常生活を切り取った(はずが何でそうなるんだ!)スケッチ・ジンとか、スプリットジンのはずが勢い余ってアンナのパートが8割くらいになっちゃってるやつとか、いろいろあるのです。


「このフリペめちゃいいことが書いてアルぜ!!」っていうのがタイトルなのかな


とにかくいつも次に出るジンがとっても楽しみ。
ちなみにDIY 大阪ジンフェアのポスター↓もアンナが書いてる。



それにしても、久しぶりに夜道で立ち止まってジン読みながら帰った! 自転車はいいけど、これができないのがちょっとね。

ZTWOF #1 マザーランド


明日10月2日(日)は大阪で2回目のDIY 大阪ジンフェアが開催される。

5月にあった第1回に参加したのだけれど、とにかくよいイベントだった。会場はとっておきの秘密基地のようでガレージのようでもあるし、食べ物もおいしくて、夜遅くまでのライブは路上まで使ってお祭りみたい。さらに! 今回は前回のワークショップやライブの代わりに「マイ・ジン・ストーリー」というテーマのディスカッション(相談会!)をやるらしい。話し合う予定のテーマがここに書かれているのだけれど、「ジンは行動主義(Activism)と関係はありますか」とか「出版社やリトルプレスが与えなくてその代わりにジンが社会に与えられることは何でしょうか」とか、ジンを作ってる人同士で(ここが大事)話し合う場があるっていいわよね。誰か私にも聞いてくれたらいいのにって(人だのみながら)いつも思ってるけどほとんど誰も聞いちゃくれない問いなので、脳内で答えているだけで涙が出てきちゃった。ジンがどんなものを指したって全然かまわないけれど、絶対に無いことになってほしくない部分だ。でもまあ実際にはそんな場では涙が出ちゃうどころか緊張してぜーんぜんしゃべれないから、だから私はジンをやっているので、行ったら断然ダサいことになってしまうだろう。それでもやっぱり今回も行くことにしといたらよかったな。近くに住んでる明日暇な方は本当にラッキーです。

さてこのDIY大阪ジンフェアの驚異的な雰囲気のよさ+そこはかとなく感じられる反骨精神、その奇跡のバランスは主催するTeam Havin Funによるところがすごく大きいと思う。2人の人柄とか、彼女たち自身がまず最高のジンスタであるっていうこととかがさ。

それで、前々からジンを紹介したり感想を書くということをこのブログでやろうやろうとしていたんだけど、ちょうどいいので彼女たちのジンで始めることを今日、思い立ちました。そういうわけだから、さっそくスタート↓

Zines To Watch Out For #1 マザーランド

メイソン美香
2010年11月 A5 26ページ
(帰り道で撮ったから写真が暗くてごめん)


美香さんはヴァージニア州出身。彼女のお母さんは大阪出身。
日本に来てお母さんの育った街の近くに住むことになり、そこを歩いていた若き日のお母さんの姿を思い浮かべようとするけれど上手くできない。
30歳より前の、結婚していない、日本の若者としての彼女はどんなだったのか?

家に帰ったときこっそりアルバムからはがしてきた(!)というおしゃれでかっこいいお母さんの昔の写真と、1ページごとの短い文章が見開きになっている。この文章が私、とっても好き。すばらしい。子どもの頃から今までのささいなできごとの記憶やお母さんがよく使う言葉、親戚から聞いた話などが思い出され、意識が流れるようにつながって織り合わされていく。

たぶん「いかにもお母さんらしい」部分が伝わるエピソードがまずおもしろいし(ほんと大声で笑っちゃう話がいくつか)、いっぽうであまりに近く慣れ親しんだ存在の知らない一面が見えたり想像できた瞬間の、驚きや切ないような気持ちが大げさにでなく少しづつ伝わってくるの!

いま本当はここで、爆笑ものだったり胸がドキドキしてしまうようなエピソードを紹介しようと思って引用してみたりしたんだけど、友だちの、そしてそのお母さんのプライベートをこんなとこにそんなに書くのはどうしても気が引けてやめてしまった。ジンは本やブログじゃない、そこがいいところでもある。だから読みたい人は、大阪ジンフェアに行って美香に聞いてみて。日本語版も作っているって言ってたから、もしかしたら並んでるかも!



それにしてもね、ここに書かれている文章のなかの美香ちゃん本人も、私の知っているイメージからは少し意外な面がチラっと見えたりする。家族の中の、思春期の、子どもの頃の彼女。友だちが作る、本当にパーソナルジンを読むのってなんかセクシーな体験だよね!

2011/04/27

ポリ ありがとう 


RIP
Poly Styrene (1957-2011)


(カタカナの表記は「ポリー・スタイレン」みたいなのが一般的なのだろうか、それが発音に忠実なのかもしれない。けどずっと「ポリ・スチレン」だと思っていたのでこれからもそう呼ぼうかな)

ポリ・スチレンを知ったのはそんな若いときではなく、カーソン・マッカラーズ作品のトムボーイについて触れているジュディス・ハルバースタムの論文を読んだときだったと思う。かの有名な"Oh Bondage Up Yours!"という曲の出だしに触れたあと、ハルバースタムはこう続けていた。

「ポリは音楽とファッション(スタイル)を通して、〈自然なフェミニンさ〉などというものにがんじがらめにされることへの徹底的な拒否を示した。ド派手で不自然な蛍光色の服、がっちりとした歯列矯正器具をわざと見せた口元。女の子は〈おさとうとスパイス〉でできているがごとく、かわいらしく素敵でなくてはいけない。そんな決めつけなどものともしない、という意思表示をしているかのようだった。エックスレイ・スペックスは楽曲を通してジェンダーや消費社会による拘束からの解放を求め、人によっては耐え難いような音楽を奏でることでそれを実践した」

"Oh Bondage Up Yours!"


「かわいらしい女の子は
見られるだけでいい 意見なんて求められない」
そう言う人もいる

私はこう答える
Oh Bondadge, Up Yours!
(縛りつけなんてなんて クソ食らえ!)


"Identity"


アイデンティティは危機状態 わかるでしょ?
アイデンティティ アイデンティティ
鏡を見つめ 思わず素早く叩き割る
破片を拾い 手首を切りつける
話題づくりのつもり? それとも発作的に?
前にもやったことがあるの? 本か何かで読んだの?!


すでに気づいている問題(だからトムボーイを研究しようと思ったはずだし)への、こういう反応のしかたもあるんだよ、というモデルを示された気がした。心強い気持ちになる。きっと遅かれ早かれ何かには出会ってはいただろうけど、ポリ・スチレンでよかった。こんな歌詞をこういう曲にのせて歌っていいんだよ、緑のプラスチックのお買い物カゴさげて、目玉をぐりぐりひん剥いて!

「アイデンティティは危機状態」は相変わらずだけれど、ポリを知って以来自分の追求していくべき「スタイル」は、ギクシャクしたフェミニンさ、どんくさくてわざとらしいエレガンスのようなものだと自分で決めたと思う。


ちなみにX-ray Specsで一番好きなのはこの曲。

"Highly Inflammable"

すごく発火しやすくて
すぐにも爆発してしまいそう
神経過敏で 気分が高ぶり
あふれ出ていくがまま

あなたは私を女と思い
わたしはあなたを男だと思ってた
でも 本当は
私はティンカー・べル
そしてあなたはピーター・パン


誰かがなくなったときに急にその人のことを書くのは本当は好きじゃない。でも私はポリに本気で感謝してるし、会ったことのない有名な人の死に際して悲しいとか寂しいとかだけじゃなく心細さを感じるというのは初めてのことだ。

彼女の人生や作品について、これからもっと知っていきたいと思っている。