2011/04/27

ポリ ありがとう 


RIP
Poly Styrene (1957-2011)


(カタカナの表記は「ポリー・スタイレン」みたいなのが一般的なのだろうか、それが発音に忠実なのかもしれない。けどずっと「ポリ・スチレン」だと思っていたのでこれからもそう呼ぼうかな)

ポリ・スチレンを知ったのはそんな若いときではなく、カーソン・マッカラーズ作品のトムボーイについて触れているジュディス・ハルバースタムの論文を読んだときだったと思う。かの有名な"Oh Bondage Up Yours!"という曲の出だしに触れたあと、ハルバースタムはこう続けていた。

「ポリは音楽とファッション(スタイル)を通して、〈自然なフェミニンさ〉などというものにがんじがらめにされることへの徹底的な拒否を示した。ド派手で不自然な蛍光色の服、がっちりとした歯列矯正器具をわざと見せた口元。女の子は〈おさとうとスパイス〉でできているがごとく、かわいらしく素敵でなくてはいけない。そんな決めつけなどものともしない、という意思表示をしているかのようだった。エックスレイ・スペックスは楽曲を通してジェンダーや消費社会による拘束からの解放を求め、人によっては耐え難いような音楽を奏でることでそれを実践した」

"Oh Bondage Up Yours!"


「かわいらしい女の子は
見られるだけでいい 意見なんて求められない」
そう言う人もいる

私はこう答える
Oh Bondadge, Up Yours!
(縛りつけなんてなんて クソ食らえ!)


"Identity"


アイデンティティは危機状態 わかるでしょ?
アイデンティティ アイデンティティ
鏡を見つめ 思わず素早く叩き割る
破片を拾い 手首を切りつける
話題づくりのつもり? それとも発作的に?
前にもやったことがあるの? 本か何かで読んだの?!


すでに気づいている問題(だからトムボーイを研究しようと思ったはずだし)への、こういう反応のしかたもあるんだよ、というモデルを示された気がした。心強い気持ちになる。きっと遅かれ早かれ何かには出会ってはいただろうけど、ポリ・スチレンでよかった。こんな歌詞をこういう曲にのせて歌っていいんだよ、緑のプラスチックのお買い物カゴさげて、目玉をぐりぐりひん剥いて!

「アイデンティティは危機状態」は相変わらずだけれど、ポリを知って以来自分の追求していくべき「スタイル」は、ギクシャクしたフェミニンさ、どんくさくてわざとらしいエレガンスのようなものだと自分で決めたと思う。


ちなみにX-ray Specsで一番好きなのはこの曲。

"Highly Inflammable"

すごく発火しやすくて
すぐにも爆発してしまいそう
神経過敏で 気分が高ぶり
あふれ出ていくがまま

あなたは私を女と思い
わたしはあなたを男だと思ってた
でも 本当は
私はティンカー・べル
そしてあなたはピーター・パン


誰かがなくなったときに急にその人のことを書くのは本当は好きじゃない。でも私はポリに本気で感謝してるし、会ったことのない有名な人の死に際して悲しいとか寂しいとかだけじゃなく心細さを感じるというのは初めてのことだ。

彼女の人生や作品について、これからもっと知っていきたいと思っている。